フレックスタイム制の法改正について
- 2018年12月16日
働き方改革関連法の一つに、フレックスタイム制の見直しがあります。
これは2019年4月より施行され、従来の清算期間1カ月が3カ月まで延長することができるようになります。これにより、今まで以上に柔軟な働き方ができるようになり、労働者にとってはとても有利な法改正になると思います。
一方会社側からみるとどうなるのでしょう。例えば清算期間を3カ月にした場合、毎月固定給を支払い、3カ月経過した段階で、その不足分、超過分を計算すれば良いので楽にもなります。但し、各月で週平均50時間を超えた場合は、使用者はその月で割増賃金を支払う必要があります。要は、毎月時間を計算して週50時間を超えた場合は割増賃金を支払い、更に3カ月の清算期間が終了した段階で、賃金の計算が必要となり、単純に考えると二度手間となります。
現在1カ月の清算期間では、月の法定時間を超えた総労働時間を設定することはできません。
例えば、ある月の1日の所定労働時が8時間、所定労働日数が24日、暦日数が31日とすると
・所定の総労働時間…8時間×24日=192時間
・法定の総労働時間…40時間×31日÷7日=177.1時間
となり、その月の上限の総労働時間は177.1時間までしか設定できません。
例外として、完全週休二日制の会社は法定時間を超えた設定はできますが、たまに週6日勤務のカレンダーを使用している会社は、これを適用できません。
今回の法改正により、3カ月清算を使用する場合はこの法定労働時間の壁をクリアすることができますが、今までと同じ1カ月清算にて実施する場合はどうなるのでしょうか?
色々条文等を確認してもこの件については掲載されておらず、2箇所の労働基準監督署にも確認してみました。
◎A労働基準監督署の話
「清算期間が1カ月のままでも、今回の法改正により法定労働時間を超えても、きちんと割増賃金さえ支払えば、問題はないかと思います。但し、はっきりOKとは言い切れません…」
◎B労働基準監督署の話
「条文等にはこの件は記載されていないので、今まで通り1カ月清算の場合は、法定労働時間を超えての設定はできないと思います…」
と、それぞれ相違する意見であり正しい事は分かりませんでした。現状では1カ月清算を使用する場合は、今までと同じやり方をして、暫く様子をみた方が良いと思います。
いずれにせよ、このフレックスタイム制については、難しい内容となっていますので、何かありましたら山村社会保険労務士事務所までご相談ください。