就業規則について
- 2018年10月 8日
労働基準法第89条には、就業規則の作成および届出について、以下の通り記載されています。
「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項について就業規則を作成し、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならない。当該事項を変更した場合においても同様とする」
これに該当していても、就業規則を作成していない会社様、もしくは作成はしているが所轄労働基準監督署へ届出していない会社様は、結構たくさんあるのではないでしょうか?
◎ここでのポイントは以下の通りです。
1:常時10人以上とは
・これは正社員はもちろん、パートさんやアルバイトさんの数も含みます。
・例えば週3日の契約で雇用しているパートさんも、暫く雇用すれば常時となります。
2:人数の換算は事業所単位
・例えばA市に12人、B市に8人の労働者を雇用している会社の場合
・A市の事業所は作成および届出の義務が発生します。
・B市の事業所はその義務は発生しません。
(但し労働者とのトラブル防止のために、できれば就業規則を作成した方が良いです)
3:所定の事項とは(要は就業規則の内容)
・その内容には「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」があります。
・「絶対的記載事項」(必ず記載しなければならない事項)の要旨は以下の通りです。
→始業・終業時刻、休憩時間、休日・休暇、就業時転換に関する事項
→賃金の決定、計算・支払方法、締切、支払時期、昇給に関する事項
→退職に関する事項
・「相対的記載事項」(定めがある場合記載しなければならない事項)の要旨は以下の通りです。
→退職手当があればその事項
→臨時の賃金等の支払いがあればその事項
→労働者に食費や作業用品等の負担をさせる場合はその事項
→安全・衛生に関する定めがあればその事項
→職業訓練に関する定めをする場合はその事項
→災害補償、業務外の疾病扶助に関する定めをする場合はその事項
→表彰・制裁の定めをする場合はその事項
→その他、その事業所の全てに適用される定め(例えば休職規程等)があればその事項
4:届出とは
・まずは労働者代表者の意見を聞きます。
・これは同意書ではないので、もし「反対です」という意見でも有効です。
・その労働者代表者の意見書と届出書と就業規則の3点セットを所轄労働基準監督署へ提出します。
・上記の3点セットは、各2部用意して、1部は監督署へ提出し、1部はその会社の控えとなります。
(監督署に届出印を押してもらい、必ず控えは会社で保管しておきましょう)
⑤就業規則の内容を変更した場合
・就業規則を作成して、一度届出をしたら終わりではありません。
・就業規則の内容を変更した場合も、上記④の手続きは必要です。
⑥就業規則の周知義務
・就業規則の効力が発生するのは、作成した時でも監督署へ届け出た時でもありません。
・就業規則を労働者に周知した時に初めて効力が発生します。
・その周知方法は、労働者に配布、事業所に掲示、社内LANにて閲覧等があります
就業規則は、その会社のルールブックです。労働者とのトラブルを避けるためにも、作成することをお勧めしますが、適正に作成しないとかえってまずいことになる場合があります。
まずは就業規則の内容が、法令(労基法、安衛法、その他労働法等)に準拠しているかが一番大事です。もし、法令に違反していたら、せっかく作成してもその部分は無効となります。
来年には、働き方改革関連法の大きな改正もあり、まだ就業規則を作成していない会社様、もしくは作成はしているが、暫くその内容のメンテナンスをしていない会社様は、そろそろ就業規則の作成・改定をご検討された方が良いと思います。
そのお手伝いをさせていただければと思いますので、まずは山村社会保険労務までご相談ください。