労働安全衛生法関連に関する対応方法
- 2018年8月 5日
前回のブログでは、労働基準関係法令違反に係る公表事案について記載しました。
そこで、断トツで違反により送検されている事案が多いのは、労働安全衛生法関連(以下「安衛法」という)と述べました。今回は、その安衛法について、どうすれば少しでも違反による送検のリスクを減らすことができるかを考えたいと思います。
安衛法違反により公表されている事案を見ると、その概要は以下の通りです。
●事業者が危険防止措置を怠ったために重大事故が発生
・機械の運転を止めることなく、当該機械の清掃を行わせたために事故が発生した。
・土砂等の崩落防止措置を講じなかったために事故が発生した。
・高所作業において、安全帯を使用させることなく作業をして事故が発生した。
・物体落下の恐れのある場所に、危険防止措置なく労働者を立ち入らせて事故が発生した。
●事業者が安全設備や安全装置を設置しなかったために重大事故が発生
・高所の場所に、安全のための手すり等の落下防止設備を設置しなかったために事故が発生した。
・有害な屋内作業において、換気の設備を付けずに事故が発生した。
・危険を伴う機械に、安全装置を設置せずに作業し事故が発生した。
●事業者が労働者に対して不適切な指示や教育不足により重大事故が発生
・無資格の労働者にフォークリフトを運転させて事故が発生した。
・法定で決められた業務に、作業主任者を選任せずに作業をして事故が発生した。
・作業前点検を怠ったことにより事故が発生した。
・労働者にきちんと作業手順等の教育せずに作業をさせて事故が発生した。
安衛法違反により送検されているので、いずれもその事故内容は、労働者が死亡したり障害が残る程度の重大なものだと考えられます。
これらの事故原因は単純なものばかりで、実際事故が発生するまでは、それほど重大なことだとは考えずに作業をさせて、事故が発生してから「しまった、きちんと対応しておけば良かった…」と後から大きな後悔が残るものではないでしょうか。
これらの対応策はそれほど難しくはないかと思います。まずは、事業場内を一度点検して、危険な場所や危険な作業でのリスク回避(危険防止措置、安全設備の設置、危険な作業方法の手順の見直し等)をはかってください。また、的確な資格保有者により作業がされているか(もし無資格なら作業はさせない)、労働者の能力に合った作業をしているか(能力不足なら教育実施)もチェックしてください。そうすれば、大半の事故は未然に防ぐことができると思います。
いずれにせよ、事故が発生してからでは遅いです。事前にリスクを考えて、常に「事故は発生させない」「事故は起こさせない」という気持ちで、その事故予防を心掛けて欲しいと思います。
また、もしも事故が発生した場合は、迅速に「労働者死傷病報告」を所轄労働基準監督署へ提出した方が良いです。この報告をせずに、送検されている事案が多数あります。
その為、「労働者死傷病報告」を未提出のままにすると、送検されるリスクがあるので注意が必要です。この書類の記載方法等は難しくはありませんので、こちらも忘れずにご対応ください。