改正派遣法 派遣元の対応について
- 2018年7月14日
2018年問題として、2013年4月に施行され、パート・契約社員等の有期雇用契約者を無期雇用契約へ転換する改正労働契約法と、2015年9月に施行され、労働者派遣事業の許可制への一本化や派遣労働者の期間制限の見直し等の改正派遣法の二つがあり、それぞれ施行から5年や3年を経過した今年に、その対応が迫られる事項が多数あります。
今回は、その中から改正派遣法についてお知らせします。
そもそも労働者派遣法に登場する当事者として、派遣労働者を送る側の「派遣元」と派遣労働者を受入れる側の「派遣先」がありますが、まずは、派遣法の改正によりその影響を受ける「派遣元」の対応について述べます。
3年前の改正により、従来の「特定労働者派遣事業」と「一般労働者派遣事業」の区別が廃止され、許可制への一本化となり、その移行については3年間の猶予がありました。そして、2018年9月29日までに許可制へ移行しなければ、2018年9月30日以降は労働者派遣事業を行うことができないこととなりました。
ここで問題となるのが、従来「特定労働者派遣事業」を行ってきた事業者となります。今までは、行政に対して必要な書類を揃えて届出さえすれば、派遣事業を行うことができましたが、今回は許可制ということで、その許可基準のハードルが一気に高くなり、財産要件や事業所の面積要件、また申請に際して、キャリア形成支援制度の確立やその労働者の雇用形態に対する規定類の見直し、安全衛生教育の実施体制の整備、個人情報の適正管理等さまざまな要件が必要で、その許可申請には膨大な時間と労力が必要となります。
現在、許可申請の窓口である都道府県労働局は、最後のその対応に追われてごった返しています。もし、まだ許可申請を行っていない事業者は、大至急手続きされることをお勧めします。(時間的にもう間に合わないかもしれませんが…)
もし、許可申請をやるのが大変なので、「構内請負」という形で継続しようと考えている事業者は、それが正しい請負の形であれば良いですが、違法な請負(いわゆる「偽装請負」)は絶対にやらないでください。恐らく行政は、今年の9月末で労働者派遣事業の許可申請一本化が完了し、その後少し落ち着いた段階で、その「偽装請負」の調査を始める可能性は大きく、その違法性が認められた場合の罰則は大変なものとなります。
上記以外でも派遣元の対応として、派遣労働者の雇用安定措置や均等待遇の推進、従来からあった派遣元管理台帳の作成・保管、派遣元責任者の設置、適切な派遣元事業主の選択に資する情報の提供等、多数のやらなければならない事項があります。
いずれにせよ、派遣法はなかなか難しい法律なので、何かあれば山村社会保険労務士事務所までご相談、お問い合わせください。