非正規労働者の待遇格差訴訟の最高裁判決
- 2018年6月 3日
この先、政府が掲げる「同一労働同一賃金」に大きな影響を与えるであろう、非正規労働者の待遇格差を巡り、2件の最高裁の判決が出ました。
一つ目は、正社員と契約社員との格差の問題です。同様の業務をしている両者の年収の差が約240万円あり、特に各種手当の支給については格差があり、それを巡る争いでした。結果として、通勤手当、無事故手当、皆勤手当等の支払いが命じられ、唯一住宅手当については、契約社員は転勤の可能性が無いということから、支給はしなくても良いという判決でした。
二つ目は、正社員と定年退職後の再雇用者との格差の問題です。定年前から年収が約120万円も減額し、その賃金引下げは不合理だと訴えたものでした。結果としては、皆勤手当、時間外労働手当の支払いは命じられましたが、基本給等の減額については、年金の受給やこの先の雇用期間等を考慮して、不合理には当たらないとの判決でした。
この2つの判決を単純に考えると、会社で雇用しているパート・契約社員については、もう少し手当等の支給を厚くして格差を是正し、定年退職後の再雇用の嘱託社員については、ある程度の基本給等の減額はやむを得ないということになります。
但し、そんなに簡単なものではないと思います。いずれにせよ、この先政府が掲げる「同一労働同一賃金」は、賃金の支払い等会社に大きな影響を与えることになりますので、引き続き動向を探っていきたいと思います。